マセラティ　カリフ　入庫しました。

マセラティ・カリフ

マセラティ社の送り出したビトルボシリーズの中でもジャジャ馬の名を欲しいままにしたカリフのご案内です。

そもそもスパイダー・ザガートにボディ剛性を上げるため、ハードトップをつけて、さらにエンジンチューンを施すことで新しいクーペを作る、という発想が既にシュールですし、実際そのいでたちはシュールな格好でした。

しかもショート・ホイールベースゆえ、そのトリッキーな挙動に面食らった評論家たちから頂戴したあだ名が「ジャジャ馬」です。
実際コーナーで不用意にスロットルをオンにするとすぐにスピンモードに突入する危うさがあります。

野性味溢れる3vビトルボエンジンは255psまでチューンされており、ひとたびアクセルを踏み込むとめくるめくトルク感の虜になるのではないでしょうか。

もともと生産台数が少ない車両のうえ（総生産台数は211台、つまりあのシャマルよりもずっと少ないのです！！）、そんな特性から現存する車両は非常に少ないです。
さらに追い打ちをかけたのが、デ・トマゾ傘下末期特有の組み付け精度不良によるトラブルも多かったことです。

実際、トラブルの多さから見捨てられた車両も多く、カリフ=買ってはいけない　という図式すら成り立つような状況でした。
ただ、誤解してほしくないのは、この時代のマセラティはその大半が「部品の精度が悪い」のではなく「組み付け精度が悪い」ということです。

部品自体が悪くなくても、組み付けが悪いゆえに部品に負担がかかり、結果として部品が破損→故障→部品が壊れてる→やっぱりダメね。。。
となるのですが、実はそうではないことが多いのです。
必要な対策を取った上で、一つ一つ丁寧に調整しながら組み上げたこの時代のビトルボは（特にカリフなどは）都市伝説とは違う顔を見せてくれます。

現在ではすっかり忘れられた存在となりつつあるカリフですが、実はこの車、本当に面白い車で、まさに「ジャジャ馬ならし」です！
完調のカリフの素晴らしさを知る人はそれほどいません。